「日本域気候予測データ - 観測地点データ」を可視化する - データ入手とマップ化
はじめに
「日本域気候予測データ」は、気象庁の公表する「地球温暖化予測情報第 9 巻」と「日本の気候変動 2020」で用いられているデータで、NHRCM05 または NHRCM02 による RCP8.5 シナリオ及び RCP2.6 シナリオに基づく将来予測計算の結果を、気象庁が解析したものです。
「日本域気候予測データ」には、バイアス補正をしていない「モデル格子点データ」と気象庁アメダス観測地点に対応するモデル格子点についてバイアス補正した「観測地点データ」の 2種類があります。
「観測地点データ」は、csv形式で公開されているので、比較的簡単にQGISで表示することができます。では、やってみましょう。
データの利用申請
まず、気候予測データセット2022の「日本域気候予測データ」の利用申請を行います。
- 気候予測データセット(DS2022)のホームページにアクセス
diasjp.net - データセット紹介→"日本域気候予測データ"に進む
- "データダウンロード"をクリック
- "データをダウンロード"をクリック
- DIASにログインする
※初めての方は新規DIASアカウント登録を行ってください。
- データの利用申請を行う
- 許可が下りると、表示が変わる
データ入手
メタデータをダウンロード
観測地点の名称や属性値が収録されているメタデータをダウンロードしておきます。
・amd_area.csv ・prec_index.csv ・snow_index.csv ・temp_index.csv
3. 利用規約に同意してダウンロードする
観測地点データをダウンロード
観測地点データをダウンロードします。ここでは、水平解像度5kmの予測結果に基づく日本域の気候変動予測を入手します。
1 . /jmaqwp/gqp9/data/csv/SFA_rcp85_ensフォルダを指定し、ファイル検索
2. 検索されたすべてのファイルにチェックを入れる
3. ダウンロード
4. 利用規約に同意してダウンロードする
5. /jmaqwp/gqp9/data/csv/SFA_rcp26_ensフォルダを指定し、同様にダウンロードする。
6. /jmaqwp/gqp9/data/csv/SPAフォルダを指定し、同様にダウンロードする。
データを解凍する
ダウンロードしたファイルはtgz形式で圧縮されているため、Window11のWSL2を用いて構築したUbuntu環境でコンソールを立ち上げ、解凍します。
# ユーザホームディレクトリにJWP9フォルダを作成し、 # ダウンロードした”data***.tgz”を移動しておく。 cd /mnt/c/Users/hoge/JWP9/ find ./ -type f -name "*.tgz" | xargs -n 1 tar zxf
次のディレクトリにデータが解凍されます
C:\Users\hoge\JWP9\dias\data\jmagwp\gwp9\data
C:\Users\hoge\JWP9\dias\data\jmagwp\gwp9\meta
マップ化
ダウンロードしたcsvには、緯度・経度情報が含まれていることから、そのままQGISに読み込んでマップ化することが可能です。
1. QGISを立ち上げます
2. 「レイヤ(L)」→「レイヤを追加」→「CSVテキストレイヤを追加」をクリック
3. データソースマネージャを設定
- ファイル名:
- 観測地点データのannually(年統計値)ファイルを指定する
- レコードとフィールドのオプション:
- 破棄するヘッダ行数 → 1
- 最初の行はフィールド名にチェック
- ジオメトリ定義:
- X属性 → lon
- Y属性 → lat
- ジオメトリのCRS → EPSG:4326 - WGS84を設定
「追加」をクリック
4. 観測地点が表示される
5. 統計値(最高気温が25度を超える日数)で色分けをする
「日本域気候予測データ - 観測地点データ」を入手し、1データについてマップ化するまでを紹介しました。 試してみてくださいね~。
※本記事では「気候予測データセット2022 ②日本域気候予測データ」を使用しました。同データセットは、気象庁気象研究所が開発した気候モデルを利用して、文部科学省気候変動リスク情報創生プログラム(RCP8.5シナリオ)及び統合的気候モデル高度化研究プログラム(RCP2.6シナリオ)において計算されたデータを元に作成されたものです。